物流基礎

ディストリビューションセンター(DC)とは?役割と省人化の実現方法を紹介|物流基礎

ディストリビューションセンター(DC)の外観

この記事で分かること

  • ディストリビューションセンターとは何か、なぜ必要か?
  • ディストリビューションセンターにかかる費用は?
  • ディストリビューションセンターの最先端DX事例

ネットショッピングが生活に根付いてきた現代社会において、物流は欠かせない存在になっています。その物流業界を下支えする物流センターは、多様化するニーズへの対応とスピード化を実現するため、急速に進化を遂げています。

本記事では、物流センターの中でも在庫を保管するディストリビューションセンター(DC)の役割やメリットを解説するとともに、直面する課題、その解決のためにどんな最新技術が取り入れられているのかを事例を交えて紹介していきます。

ディストリビューションセンター(DC)の役割

ディストリビューションセンター(DC:Distribution Center)とは、在庫を保管し、オーダーに応じて出荷するタイプの物流センターのことで、「在庫型センター」とも呼ばれます。

在庫を保管しておくだけの倉庫とは異なり、ディストリビューションセンターは、荷物をスムーズに搬出・搬入することが前提となっているため、積荷スペースの確保や大型トラックの出入りがしやすいといった建物の設計面でも考慮されています。また、高速道路の入り口や空港の近くに立地しており、物流強化につながる立地が選ばれる傾向にあります。

商品の保管機能に加えて、ピッキングや検品、梱包(こんぽう)といった物流加工の機能が備わっており、指定納期に合わせた一連の出荷作業をディストリビューションセンター内で完結させられることが特徴です。

ディストリビューションセンター内の大まかな業務フローは以下の通りです。

1.入荷検品:入荷した商品の種類・数の確認

2.棚入れ:保管エリアへの格納

3.ピッキング:指定された商品を保管エリアから取り出す

4.出荷検品、梱包(こんぽう):出荷する商品の種類・数の確認と梱包(こんぽう)

主に卸売・小売業や製造業で多く見られる物流センターのタイプで、一つのDCに複数企業・店舗が入居している場合もあります。

ディストリビューションセンター(DC)を利用する際にかかる費用

DCを利用する際にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。

利用コストは主に、固定費と変動費の2種類に分けて考えます。

・固定費

→システム利用料、業務管理料、倉庫保管料

・変動費

→売上に比例して増減

デバンニング料、入庫料、検品料、出荷・ピンキング料、梱包料、配送料

そして、以下が一般的な利用コストの相場です。

項目価格帯(固定費/変動費)
基本料(システム利用料)2万円~5万円固定費
基本料(業務管理料)1万円~5万円固定費
倉庫保管料3,000円~7000円(坪単単価)固定費
デバンニング料2万円~3万5,000円変動費
入庫料10円~30円(1個あたり)変動費
検品料10円~100円(1個あたり)変動費
出荷料(ピッキング)10円~30円(1個あたり)変動費
梱包料150円~300円(ダンボール)変動費
配送料400円~1,200円変動費

参照:物流倉庫の平均費用と料金相場|早見表つき【2022年保存版】

上記変動費は取扱い商品(たとえば冷蔵冷凍食品やバーコードの有無)によっても保管料等に差が生じるため、具体的な費用は提供事業者に問い合わせてみましょう。

TCやPCとの違い

物流センターの種類には、ディストリビューションセンター以外にも、トランスファーセンター(TC)とプロセスセンター(PC)があります。ここでは、それぞれの特徴や機能を解説します。

トランスファーセンター(TC)

トランスファーセンター(TC:Transfer Center)は、「トランスファー(移動させる)」という名の通り、荷物の仕分けや積み替えに特化した物流センターです。納入された荷物を保管せず、直ちに検品し方面別・店舗別に仕分けられ、次の配送先へ出荷されます。

大手量販店やコンビニエンスストアで利用されるトランスファーセンターは、利用店舗の近辺に配置されることが多く、小ロット多頻度配送になるのが一般的です。入出荷に関する正確なデータ管理が必要になるため、高度な物流管理システムの導入が必須ですが、在庫保管スペースや作業要員が最小限に抑えられ、不良在庫を抱えるリスクが軽減されるメリットもあります。

プロセスセンター(PC)

プロセスセンター(PC:Process Center)は、最終納品先の希望に合わせて、鮮魚や精肉といった生鮮食品を中心に加工や梱包(こんぽう)を行う物流センターのことです。主にコンビニエンスストアやスーパーマーケット、飲食チェーン店で利用されています。

プロセスセンターでまとめて加工することで、各店舗への設備投資や調理コストの軽減が可能になり、品質の平均化にもつながる反面、センター内では専用設備と高度な品質管理体制が求められ、従業員の配置が必要になります。

ディストリビューションセンターのメリット

ディストリビューションセンターを活用する最大のメリットは、コストの削減です。在庫を大量に保管できるので、大きいロット単位での生産や商品確保が可能です。そのため生産に必要な原料や部品を大ロットで一括購入できるので割引率が高くなり、都度調達による調達物流コストをカットできます。

また、在庫を一定数保有しているため、急な発注や突然のキャンセルにも迅速に対応でき、顧客との信頼関係の構築にもつながります。

ディストリビューションセンターが抱える課題

ディストリビューションセンターの内部

メリットも大きいディストリビューションセンターですが、その現場や取り巻く物流業界全体には、以下のような課題もあります。

1. 小口発送増加による物流工程の複雑化

ECサイトの普及により、直接一般消費者に商品を届けるBtoCの小口配送が急増しました。国土交通省の調査によると、1990年度は1,365万6,000件であったのに対して、2015年度は2,260万8,000件に増加しています。

個人宅への小口配送が増えるということは、多品目のピッキングが発生し、小分け作業や梱包(こんぽう)作業が複雑になるだけでなく、より細やかな商品管理や詳細な配送ルートプランニングといった高度な業務効率化が求められることを意味します。

2. 配送のスピード化

EC業界では、他社との差別化を図るため、配送のスピード競争が激化しています。翌日・当日配送がサービスとして定着し、「欲しい物を欲しいときに手に入れたい」というニーズはBtoCだけでなくBtoBでも高まる傾向にあります。しかし、複雑化する物流工程の時間短縮は容易なことではありません。

3. 人手不足と労働環境の悪化

上記のような背景から、ディストリビューションセンター含む多くの物流センターで作業員不足に直面しています。配送のスピード化を追い求めた結果、24時間体制で荷物の仕分け作業にあたり、夜間・早朝の配送に対応するといった従業員の労働条件が過酷化しています。この状況下では、離職率を下げられず、慢性的な人手不足から抜け出せないのが現状です。

国土交通省によると、トラックドライバーが不足していると感じている企業数は年々増加傾向にあり、全体の約45%(2013年度)から5年間で約70%に上昇しています。

物流の現場では、従来以上にスピードが求められる一方で、人手不足に陥るという板ばさみの状況が深刻化しており,課題解決のためのロジスティクス革新が急務となっています。

自動化技術で作業員の負担軽減を実現するDC事例

このような課題解決手段の一つが、物流テクノロジーの導入です。

工業用品のBtoB通販を営む大手企業は、IoTやAI技術を取り入れた先進的なディストリビューションセンターを2017年に本格稼働させました。

約5万6,200平米の延床面積を有し、業界最大規模となる約50万点超の在庫保有が可能になっただけでなく、自律搬送型ロボットの導入により、以下のようにオペレーションの自動化・省人化に成功しています。

【1】広大な平屋建ての施設で上下搬送をなくす

日本の物流センターは、土地代との兼ね合いで複数階にまたがる設計になることが一般的ですが、笠間DCは、東京ドーム2個分となる約2万7,000坪(約9万400平米)の敷地に約1万7,000坪(約5万6,192 平米)の施設を建設。上下搬送をなくして効率的なオペレーションを実現しました。

【2】大幅な改善が見込めるピッキング工程の省人化

商品の入庫から注文品の出荷までのプロセスの中で、もっとも効率化が見込める作業として注目されたのが「ピッキング」でした。ピッキングとは、注文に合わせて商品を必要数取り出す作業のことですが、この担当者が1日の作業時間のおよそ半分以上を「歩く」ことに費やしているという現状がありました。

そこで、自律搬送型ロボットを導入し、商品の入っている棚に作業者が向かうのではなく、棚を作業者の前まで運ぶことで、業務効率化と作業者の負担軽減を実現しました。

【3】その他オペレーションの自動化

ピッキング後も、自動封函(ふうかん)機による自動梱包(こんぽう)や配送方面ごとに自動仕分けを行い、オペレーションの自動化するとともに、データ分析・シミュレーションを駆使して渋滞の少ない搬送ルートを事前に判別し、搬送効率も向上させることで、1,300万点という膨大な商品点数をかかえながらも、そのうち90万点は当日または翌日出荷が可能な物流体制を構築しました。

検品の手間を省くクラウド型パレット管理システム

前述したロボットによる自動化技術以外にも、システムによる作業効率を向上させる手段も存在します。

某社が開発した300mまで通信可能なタグがついたパレットを使用すれば、検品効率が高まります。

付属のリーダー(受信機)でパレットに付いたタグを読み取ることで、「パレットがどこに、何枚あるか」がすぐに認識できます。入庫作業を行うときや、パレットを出荷するとき、手作業でパレットを1枚1枚検品していく手間が省けます。

パレットの在庫状況も可視化できるため、適正な在庫管理を実現でき、DCが抱えがちな不良在庫のリスクを軽減できます。

まとめ 

本記事では、ディストリビューションセンター(DC)の役割と省人化を実現する方法を紹介しました。

ディストリビューションセンターとは、在庫を保管し、オーダーに応じて出荷するタイプの物流センターのことで、荷物をスムーズに搬出・搬入することが前提となっているため、積荷スペースの確保や大型トラックの出入りがしやすい仕様になっているため、建物の設計面でも考慮されています。

ECの普及により物流の現場では、従来以上にスピードが求められる一方で、人手不足に陥るという板ばさみの状況が深刻化しています。多様化・スピード化する物流へのニーズに対応すべく、ディストリビューションセンターの業務効率化は急務といえるでしょう。

ディストリビューションセンターの改善を検討しているのであれば、IoTやAIの最先端技術を駆使した物流DXでロジスティクス革新を進めてみてはいかがでしょうか。

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