物流DX

車両管理の未来を支えるテレマティクスとは?|物流DX

テレマティクス

この記事で分かること

  • テレマティクスとは何か?
  • テレマティクスは物流をどう改善するか?
  • テレマティクスの導入方法・活用事例

インターネットの発達に伴い、IoT(モノのインターネット)と融合したサービスが物流業界にも広がりつつあります。今回紹介するテレマティクスも注目を集めているIoTサービス・コネクテッドロジスティクスの1つです。

※IoTサービス・コネクテッドロジスティクスについては、こちらで詳しく解説しています。

コネクテッドロジスティクスへリンク

この記事ではテレマティクスの概要とその仕組みについて解説します。運送用専用車両やドライバーの管理や運送状況の把握に課題を抱いている会社にとって、テレマティクスがどのようなメリットをもたらすかについても紹介しています。是非お読みください。

テレマティクスとは

テレマティクス(Telematics)とは通信機能を備えた車載機を車両に搭載し、遠隔からでも情報の送受信をリアルタイムで行える、車両向けの情報提供サービスです。

このテレマティクスは「テレコミュニケーション(電気通信)」と「インフォマティックス(情報処理)」を合わせた造語で、身近なもので言えばカーナビに搭載されているVICS(道路交通情報システム)やETCもその一例になります。また近年では、ドライブレコーダーの映像を遠隔で確認したり、ドライバーが急ブレーキや急ハンドルがないかといった運転ログをサーバーに保存したりする技術もでてきています。

テレマティクスはSIMなどの通信機器を用いてインターネットに接続し、GPSやカーナビの情報をクラウドシステムやサーバーと連携しながらサービスを提供します。

つまり、自動車そのものが1つの移動体通信機器となるわけです。

ドライバーの1日の運転状況を把握し、危険運転の回避にも貢献するといった、車両管理にまつわるあらゆる課題を解決する情報提供サービスとして昨今運送業界でも注目を集めています。

テレマティクスの歴史 モビリティ業界に接点を持ち始めるまで

テレマティクスの歴史

テレマティクスは1983年にF1で「テレメントリーシステム」として導入したのが始まりと言われています。テレメントリーシステムとは、ピットとバックヤードの間を無線でつなぎ、バックヤードが収集した走行中の情報をピットに伝えることで情報共有する仕組みです。

一般車にテレマティクスが登場したのはATISとVICSと言われています。ATISとは「Advanced Traffic Information Service」の略で、高速道路の渋滞状況をリアルタイムで把握し、サービスエリアやパーキングエリアで渋滞情報を表示するサービスです。

VICSはcle Information and Communication System」の略で、受信機で受信した交通情報を図形や文字で表すサービスです。

これらのサービスの登場により、私たちはカーナビやスマートフォンを通じて交通情報を参照できるようになり、渋滞を回避できるようになっていきました。近年は、IoT技術の深化と共に、多様なテレマティクス技術が生まれていますので、紹介しましょう。

テレマティクスの活用例

テレマティクス活用例

カーナビに代表されるテレマティクスは、他にもさまざまなシーンで活用されています。

クラウドと組み合わせた車両管理システム

1つめは主に運送業界で活用される「クラウドと組み合わせた車両管理システム」です。

車両に搭載したGPSの情報をもとに運行状況や荷物の輸送状況を把握でき、日々の業務改善に役立つクラウドシステムです。

運送管理をする管理者側はタブレットやPCから遠隔で「どの車両が今どこにいるのか?」といった運行情報をリアルタイムで把握できたり、燃料消費量の推移や車両毎の配車率を把握できることで、緊急時の対応や今後の業務改善のヒントを掴むことができます。

MaaSへの進化

MaaS(マース)は「Mobility as a service」の略称であり、ICT(情報通信技術)を活用し、バス、鉄道、カーシェア、といったマイカー以外の移動手段をシームレスにつなぐという概念です。

飛行機と鉄道とバスなど、異なる移動手段サービスをひとつのパッケージ商品のように予約でき、専用のアプリで決済から乗車まで対応するようなサービスです。

近年では「物流MaaS」という言葉もでてきています。

経済産業省も力を入れている分野であり、下記3つの方向性での取り組みが進められています。

1.トラックデータ連携の仕組み確立

1台の人間が運転するトラックに自動運転トラックを追随させて、何台かのトラックを連動して走行させるような取り組みです。

2.見える化・混載による輸配送効率化

トラックの荷台へセンサーを設置することより、トラック内の積載状況を立体的に把握します。加えて、GPSを活用して荷主が近くを走行中の荷室に空きのあるトラックを判別し、追加で荷物を積載するような積載効率向上を目的とした取り組みです。

3.電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証

軽貨物の電気自動車を活用し、モデルエリアで充電インフラ整備を進め、急速充電オペレーションモデルの検証や、ガソリン車との性能・環境負荷に関する比較が行われています。

テレマティクス保険

テレマティクスは自動車保険にも活用されています。

自動車を運転する上でリスクとなるのが交通事故です。万が一交通事故を起こしたときに備えて自動車保険に加入している方も多いでしょう。

そんな自動車保険の保険料を、自動車に設置した端末で取得した運転情報から決めるのがテレマティクス保険です。

テレマティクス保険は、走行距離に応じて掛け金を支払うという考えに基づき設計された「走行距離連動型保険」や、急ブレーキ・急アクセル、ハンドリングなどの運転特性を測定し、安全な運転をしていると判定されれば保険料が下がるといった「運転行動連動型保険」があります。

なかには交通事故発生時に、遠隔からドライブレコーダーの映像データを確認し、事故の発生状況を確認したうえでドライバーに事故対応の方法をインターネット経由で呼びかけるようなものもあります。

テレマティクス導入のメリット

ここではテレマティクス導入のメリットを6つ紹介します。

テレマティスク技術は輸送業務で活用されるため、TMS(輸配送管理システム)で導入メリットが生じます。TMSの機能は価格に応じて幅がありますが、輸送計画に対する配車を自動で管理するだけでなく、GPSで位置情報を取得するもの、輸送計画と位置情報から荷室の空き状況を判断したりドライバーの日報を作成するもの、燃費をシステムに転送するものなどがあります。そのようなテレマティスクでデータ化された情報を、管理部門の担当者が活用することで、様々な情報の可視化・効率化が可能となります。

TMSに関する解説は、こちらをご確認ください。

TMS記事へリンク

車両・運転手のデータの可視化

テレマティクスを導入することで車両の位置、走行距離、走行時間、といったすべての車両の状況を把握することができます。このため、「長時間運転していないか」、といった勤務状況の把握や労働状況の改善につなげることができます。

また、車両の位置が把握できるため、「目的地にどのくらいの時間で到着するのか」といったの顧客からの問合せにも対応可能です。

配送効率・営業効率の向上

車両の位置情報や稼働状況をリアルタイムで把握することで、「この車両が空いているのでこの車両を割り当てよう」と配車効率や営業効率を上げることができます。

また、ドライバーの運転状況を把握できるため、ドライバーの運転日報を自動的に作成でき、ドライバーの業務軽減や管理業務の軽減につながります。

修理費・保険料の低減

テレマティクスには急加速や急ブレーキを検知し、危険な運転を認識するとドライバーに通知するシステムが搭載されています。

危険運転が発生した際、瞬時に情報が車載機に記録され、管理者側の管理画面に通知されます。

また、危険運転が記録されることで、点数化し、その後の安全運転指導に活かすことができます。そして、安全運転の指導を行うことで交通事故を減らし、結果的に修理費や保険料の低減が期待できます。

ガソリン代・人件費の削減

テレマティクスの導入により走行ルートや渋滞で滞留した場所をエリアマップとして蓄積できます。

また、これらの情報を活用することで一定のルートを走る車両に対して効率的な迂回ルートを提示できたり、といった運送効率の向上が期待できるため、ガソリン代の削減につながります。

また、運転時間の削減により拘束時間も短くなるため勤務時間が削減し、人件費の削減にも貢献します。

管理部のコスト削減

テレマティクス上でドライバーの運転情報を一元管理できることで、管理部のコスト削減にも貢献します。

運転免許証の期限切れなど、さまざまな項目ごとにアラートを設定できるので、管理効率の大幅な向上が見込めるでしょう。

また、運転状況のデータを活用することで配送の効率化につなげることができます。これにより、管理部署の人的リソースを抑えることができ、ひいては管理部のコスト削減につながります。

保有車両数の最適化

テレマティクスの導入で車両管理台帳として保有車両を一元管理できます。

それに伴い車両の稼働状況が可視化され、低稼働の車両の削減検討につなげることができます。

また、1台の車両を複数のドライバーでシェアするといった、効率的な運用が可能となります。

テレマティクス導入で考えておくべきこと

テレマティクス導入で考えておくべきこと

一方、テレマティクスの導入で考えておくべきこともあります。

導入コスト

1つめの検討事項は「導入コスト」です。

テレマティクスを導入するには車体に情報収集機器(GPSや各種センサー)や通信機器の搭載、関連機器の購入が必要です。燃費を知る場合はデジタルタコメーター、荷室内の温度を知るなら温度センサーなど、いろいろな必要機器があります。

多くのテレマティクスサービスは車両1台につき通信機器の装備で10,000円~30,000円の初期費用がかかります。

加えて、自社に合わせたテレマティクスのシステム導入や開発も必要です。これらの導入には初期投資に膨大なコストがかかります。

このため、自社の状況に合わせて費用対効果を考慮しながら導入を検討することが必要です。

情報漏えいのリスク

2つめの検討事項は「情報漏えいのリスク」です。

テレマティクスのシステムの中には、ドライバー情報を管理するために、運転免許証の有効期限、氏名、電話番号、メールアドレス、といった個人情報を管理するものもあります。このような個人情報がクラウドシステムに登録されていることに不安を覚えるドライバーもいるかもしれません。

また、個人情報をはじめとした情報の流出の可能性もあります。このため、セキュリティ面を考慮して運用の設計を行う必要があります。

成長するテレマティクス市場

今後のテレマティクス市場はさらに成長していくと言われてます。

法人向けに展開されている業務用テレマティクスは、リアルタイムで運行状況を把握するクラウド型車両管理システムと車両の位置を確認する動態管理システムが中心となっています。

東京都文京区にあるコンサルティング会社 株式会社シード・プランニングの調査(2017年)によると、クラウド型車両管理・動態管理システムは2016年の国内利用台数は46万台、市場規模は131億円と推定しています。それが2022年には国内利用台数が2016年の3.7倍の168万台、市場規模は2016年の3.9倍である511億円と予測しています。

また、法的規制強化と車両管理業務の効率化、働き方改革による労働時間の管理、ドライバーの減少・高齢化が市場を拡大する要因として挙げています。

まとめ

この記事ではテレマティクスについて紹介しました。

テレマティクス(Telematics)とは通信機能を備えた車載機を車両に搭載し、遠隔からでも情報の送受信をリアルタイムで行える、車両向けの情報提供サービスです。SIMなどの通信機器を用いてインターネットに接続し、GPSやカーナビの情報をクラウドシステムやサーバーと連携しながらサービスを提供します。

ドライブレコーダーの映像を遠隔で確認したり、ドライバーが急ブレーキや急ハンドルがないかといった運転ログをサーバーに保存したりする技術もでてきています。

テレマティクスの導入は運転状況や危険運転を可視化することができます。これにより、重大事故を防ぐことにつながります。このため、テレマティクスの導入は業務の効率化のみならず、重大事故を防ぐというリスクを低減化することにもつながります。この点も考慮しながらテレマティクスの導入を検討してください。

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