●物流基礎
ミスを防止し作業を効率化する「仕分けシステム」|物流基礎
この記事で分かること
- 仕分けシステムとは何か?
- 仕分けシステムにはどのような種類があるか?
物流における「仕分け作業」とは、倉庫や物流センターで集められた荷物を、決められたルールに従って分類していく作業のことです。チェーン店を有する企業で、商品を店舗ごとに注文数量に従って分類するような作業ですので、ミスの許されない重要な作業です。
かつてはすべて人間がリスト化された書類を見ながら目視による手作業で行ってきた作業ですが、今ではシステム化・自動化が進んでいます。今回は、そんな仕分け作業をミスなく効率化する「仕分けシステム」について解説します。
目次
仕分けシステムとは
「仕分けシステム」とは、倉庫で集められた荷物を決められたルールに沿って分類していく仕分け作業を、ミスなく効率的に進めるためのシステムです。
人間がハンディターミナルを使って仕分けする手動タイプと、機械で自動化されたタイプがあります。まずは手動タイプから解説しましょう。
手動の仕分けシステムの作業手順
手動の仕分け作業では、倉庫で集められた商品を一定のルールに従って分類していきます。
作業者の前には縦横に仕切られた棚があり、それぞれのボックスに番号が割り振られています。作業者は、該当商品をその番号のボックスへ投入して分類します。
まず商品につけられたバーコードをハンディターミナルでスキャンすると、作業用のランプが点灯し、液晶画面に「その商品を何個何番のボックスへ入れる」といった指示が表示されます。
該当する番号のボックスを見つけて、指定された個数投入します。作業完了を示すボタンを押すと、点灯していた作業用ランプが消えて、作業ログがシステムに書き込まれます。作業ランプが消えないと、次の商品をスキャンできないようになっているため、投入し忘れるミスが防止できます。
これが基本的な手動の仕分けシステムの作業手順です。
2つの手動仕分けシステムDASとGAS
そんな手動の仕分けシステムは、大きく2種類に分類されます。
DAS(デジタルアソートシステム)とGAS(ゲートアソートシステム)です。
DAS:デジタルアソートシステム(Digital Assort System)
商品のバーコードをハンディターミナルで読み込み、液晶画面に表示された指示に従って商品を分類するシステムです。
先に説明した手順に従って作業すれば、商品知識がなくても仕分け作業ができるというものです。Digital Assort Systemの頭文字を取ってDASと呼んでいます。
ただDASでは、すべての棚のボックスが解放されているため、隣のボックスに間違えて入れてしまうミスの可能性があります。
GAS:ゲートアソートシステム(Gate Assort System)
DASの上位概念で、人為的ミスを防止するための自動開閉のふたが装備されたシステムが、ゲートアソートシステム(Gate Assort System)です。頭文字を取ってGASと呼びます。
DASは、ハンディターミナルに表示された指示を人間が目視で確認して、指示された作業をします。しかしボックスにはふたがないため、誤ったボックスへ入れてしまう可能性があります。そこで、ハンディターミナルでバーコードを読み取った際に、該当するボックスの自動開閉ゲートだけが自動で開いて、投入するボックスを指定するのがゲートアソートシステム(Gate Assort System)です。
1つの商品に対して1つのゲートしか開かないため、誤ったボックスへ入れてしまう心配がありません。またボックスに重量計測器がついているシステムもあり、指定された個数が入れられたかを自動で確認するタイプもあります。このように個数も確認できると、検品を兼ねた仕分けができます。
このふたの自動開閉の違いが、DASとGASの違いです。
DASのメリット・デメリット
ではDASは、手作業だった時と比べてどのようなメリットとデメリットがあるのかを確認しましょう。
【メリット】
メリットは、ミスの軽減と人件費の削減です。
人間が単純作業を繰り返していると、疲れからミスを生じる場合があります。
DASの作業では、毎回の作業終了後に作業完了ボタンを押すことでランプが消えるため、作業完了を確認できます。作業完了ボタンを押さないと、次の作業ができないようになっているので、ミスを防止できます。また作業効率が上がるため、必要人員を減らすことができ、人件費のコスト削減も可能となります。
【デメリット】
DASでは、仕分け先のボックスが番号で指示されるものの、実際に人間が商品を投入する際のボックスは、目視となります。誤って隣のボックスへ投入してしまう可能性があります。
GASのメリット・デメリット
ではGASは、DASと比較した場合にどのようなメリットとデメリットがあるのか確認しましょう。
【メリット】
DASよりも、さらにミスが軽減されています。仕分け作業時に、投入するボックスのふたが1つだけしか開かないため、どこに投入すべきか明確です。さらに重量センサーで、投入個数を確認できる機能がついているシステムでは、検品までの作業を同時に対応できます。電気部品を扱うメーカーでは、GAS導入により生産性がDASと比べて30%向上したという事例もでています。
【デメリット】
棚のボックスに自動開閉のふたがつくため、そのふたのためのスペースが必要となります。
設置するためのスペースを確保しなければならず、狭い現場には不向きとなります。またコストもDASよりも高額になります。
該当商品を取りに行く「デジタルピッキングシステム(DPS)」
仕分け作業において、特定の場所に商品を集めてボックスに仕分けするDASやGASは「種まき方式」と呼ばれています。一方で「種まき方式」とは逆に、必要な商品を商品棚からピッキングするためのシステムを活用した「摘み取り方式」と呼ばれる方法もあります。その「摘み取り方式」を管理するシステムが「デジタルピッキングシステム(DPS)」です。
DPSによる仕分け作業は、広いスペースを使って仕分けする場合に活用されます。
チェーン展開する店舗数が多いような企業では、店舗ごとに大きな棚が用意されており、注文商品を大きな棚の中に入れて仕分けを行います。店舗数が多いと棚の数が増えるため、一か所の棚で作業できずに、広範囲なスペースが必要となります。
その広範囲に広がる棚には、数色のカラーランプと液晶画面がついています。DPS用の端末では、まず作業者が仕分けする商品を、何色のランプの棚に入れるかが指示されます。その上で、各店舗で何個必要かが指示されます。
作業者は、端末に指示されたカラーランプが点灯した棚へ移動し、その棚に設置されたディスプレイに表示された数量の商品のバーコードをスキャンして棚に入れて、次の棚に向かいます。異なる作業者が、それぞれ別の商品を仕分けし、別の色のランプの棚に投入することで、広いスペースでの仕分けも効率的にミスなく作業できるようになります。
ただDPSは、広範囲の棚にデジタル表示を設置しなければならず、導入に手間とコストがかかります。また商品と棚が1:1で固定されてしまうため、棚の位置を変更する場合にもシステムの登録情報を変更するなどの手間がかかるといったデメリットもあります。
自動の仕分けシステム「オプティ・ソーター」
最近は、自動の仕分けシステムも活用されています。
ベルトコンベアで流れてくる商品を、RFID(radio frequency identifier)や画像認識技術などで識別し、該当する棚やベルトコンベアへと分類します。このベルトコンベア式の自動仕分けシステムは、「オプティ・ソーター」とも呼ばれています。
仕分けの方法としてはいろいろなタイプがあります。仕分けエリアごとにベルトコンベアの横から押し出すアームが出てきて、仕分ける商品だけを押し出して特定のエリアに格納するタイプや、ベルトコンベアの下に棚が設置されていて、該当の棚の位置で商品が乗っているトレイが開いて、商品が下に落下させて仕分けするようなタイプもあります。
商品を落下させて自動仕分けするシステムは非常に高速な対応が可能で、1時間あたり最大1万7200個の仕分能力を持つと発表しているシステムもあります。
「オプティ・ソーター」を活用した「自動倉庫」に関しては、こちらの記事で解説しています。
「RFID」の活用法に関しては、こちらの記事で解説しています。
自動仕分けシステムの効果
非常に高速で仕分け作業を行う「自動仕分けシステム」ですが、導入前後でどの程度の生産性の向上が見込めるのでしょうか。
半導体や電子材料を扱っている企業で「自動仕分けシステム」を導入した際には、これまで仕分け作業を10名体制で行っていたものの、2名で対応可能になったと言います。
また、衣料品通販を展開する企業では、最先端の自動仕分けシステムを導入し、従来と比較して約50%の省人化が可能になったと発表しています。
正確にスピーディーに休まず仕分け作業が可能な自動仕分けシステムは、大規模な物流拠点で導入が進んでいます。
物流業界のDX取り組み事例をご紹介いたします
物流業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)取り組み事例に関するすべての情報を1冊にまとめた資料を無償公開中です。まずはこちらからご請求ください。
資料ダウンロード用のリンクを頂いたメールアドレス宛に送信いたします。
メールをご確認いただき、資料をダウンロードしてください。
人気キーワードで検索