物流DX

物流にDXが必要な理由

物流が変わらなければいけない理由

この記事で分かること

  • 物流DXはなぜ必要か?
  • 物流DXの導入事例

「物流革命」と表現されるように、今、物流業界は大きく変わろうとしています。

かつて物流業界は、現場の経験値がものをいう職人気質の高い業界でした。しかし昨今の技術革新でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。ベテランスタッフの経験が重要視されていた物流業界で、なぜこんなにも急激なデジタル化が進んでいるのでしょうか。

ニーズが高度化する物流

その見直すべきタイミングのひとつに、AIの技術革新があります。

AIの技術革新のおかげで、これまで人間でなければ対応が難しいとされてきた作業が、ロボットに置き換わっています。ただ、DXが必要な理由は技術革新だけではありません。

【ECによる需要の増加】

インターネット通販(以下EC)の成長により、物流は効率化が重要視されるようになりました。2010年に7兆7880億円だったEC市場は、2019年には19兆3609億円まで成長。全産業(物販系)におけるECの割合を表す「物販EC化率」は、6.76%と右肩上がりで成長しています。

日本のBtoC-EC市場規模の推移

※経済産業省サイトより引用

https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html

かつての物流は、大量生産した商品を特定の拠点へ一括輸送するものでした。しかしECの小口配送は、これまでとは異なる対応が必要です。細かな商品ピッキングをミスなく大量に処理する、非常に緻密で手間のかかる業務に変化しているのです。

【時間指定配送と再配達】

またECサービスは顧客満足度を向上させるために、配送に対するサービスレベルを引き上げて他社との差別化を図ってきました。そのため、配送料無料や時間指定配送、さらには当日配送などのサービスも実施され、サービスレベルが高度化しています。

その高いサービスレベルに対応すべく、宅配ドライバーは時間指定配送の荷物を指定時間に届けるため、最適なルートの検討とたたかっています。しかし時間指定になっているからといって、お届け先が必ず在宅であるとは限りません。不在の場合には、不在通知を投函し、再配達を行う必要が生じます。いかに配送の無駄を無くすかが、宅配業務に求められているのです。

【実店舗での多頻度納入】

また、ECだけではなく実店舗の物流も、輸送回数が増加しています。

1日に何度も商品を納入する「多頻度納入」という言葉がありますが、この「多頻度納入」が重要視されるようになってきたのです。

例えば大手コンビニエンスストアは、お弁当やパンといった食材を1日に3~4回20℃程度に管理されたトラックで納入します。さらにサンドイッチや牛乳といった低温配送は、5℃程度で管理されたチルドトラックで1日に3回程度納入されます。そして冷凍食品が、週に3回~7回程度-20℃程度で管理されたトラックで納入され、温度管理の必要ない常温での納入物は、週に2回~7回納入されています。

製造業でも、顧客の多様なニーズに対応するため、かつてのような少品種を大量生産する時代から、多品種を少量生産する時代となりました。例えば、同じ商品でもカラーバリエーションを豊富にするような対応により、各色の店舗在庫数はかつてのように豊富ではなくなりました。そのため、物流も少量多頻度の納入を、いかに効率的に行えるかが重要視されるようになってきているのです。

問題視される人材不足と過酷な労働環境

このように、物流に対する要求レベルは高度化しているにも関わらず、実際の現場では人材不足と過酷な労働環境に苦しんでいます。

国土交通省がまとめた「幹線輸送にかかる必要乗務員数の推計」では、2025年度に必要な幹線輸送ドライバー数は2017年度比18%増の17万7000人と推計されています。しかしトラックドライバー数は、平成7年をピークに年々減少を続けています。平成30年厚生労働省のデータによると、トラックドライバーの有効求人倍率は全職種平均の約3倍と、多くの求人がでているものの、なかなか採用ができていない厳しい状況となっているのです。

さらに全日本トラック協会によると、トラックドライバーの年間労働時間は、大型ドライバーで平均2,604時間、全産業の平均2,124時間より2割長くなっています。さらにドライバーは拘束時間の長さに加えて、不規則な時間帯の勤務になりやすい仕事です。睡眠時間を十分に確保できず、さらに十分な休息が取りにくい環境の中で業務を続け、健康上の問題を抱えるケースも多くなっています。厚生労働省の「平成30年版過労死等防止対策白書」によると、脳・心疾患で労災申請・認定件数が最も多い職種が「運輸関連」なのです。

またドライバーに限らず、倉庫で働く人材も含めた業界全体で、人材不足は課題となっています。帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2019年)」によると、「運輸・倉庫」は10業界51種類の中で6番目に従業員が不足しているという結果が出ています。

【2024年問題】

さらに物流業界で問題視されているのが「2024年問題」です。

2019年に施行された「働き方改革関連法」は、運送業やトラック含む「車両運転業務」に関しては2024年までの猶予となっています。そのため2024年には、従業員の長時間勤務に頼ることができなくなり、不足する稼働時間分はドライバーを増員せざるを得ない状況となるのです。

物流業界には、この「2024年問題」に対応すべく、人材確保と共にドライバーの労働環境改善に取り組んでいかなければ、立ち行かなくなるという危機感があるのです。

<2024年問題の記事が公開されたら、詳細をそちらへリンク>

変わらなければいけない「ホワイト物流」推進運動

そのような、人材不足・過酷な労働環境を改善するために立ち上げられたのが、「ホワイト物流」推進運動です。

「ホワイト物流」推進運動は、国土交通省が掲げる「トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化」と、「女性や60代以上の運転者等も働きやすい、より「ホワイト」な労働環境の実現」を目指した取り組みです。

「2024年問題」などもふまえて考えると、物流業界の労働環境はマンパワーだけに頼っていては改善効果が頭打ちになると言われています。そこで、これまでのマンパワーに頼っていた物流業務のあり方を変えて、より効率的に自動化・無人化して対応できる環境構築が必要となると考えられているのです。これが現場視点で「物流にDXが必要な理由」です。

変わるべき方向性「デジタル化」と、その先にあるDX

では、どのように変わろうとしているのでしょうか。大きく進んでいるのが、デジタル化の対応です。

高度化するニーズに対してのデジタル化での対策が進んでいます。先にあげた「ニーズが高度化する物流」としてあげた3つの課題、「ECによる需要の増加」「時間指定配送と再配達」「実店舗での多頻度納入」に対しては、以下のような対応で改善しようとしています。

【自動化が進むロジスティクス】

EC需要の高まりと共に進んでいるのが、ロジスティクス内作業の自動化です。

倉庫に届いた商品は、RFIDタグを活用して複数商品をまとめて入庫処理できるようになりました。かつての1商品ごとにバーコードを読み込む作業よりもミスが軽減され、効率的になりました。入庫した商品を、保管棚に移動するのも自動運転のフォークリフトになり、商品の仕分けもRFIDタグや画像認識技術により無人化されています。

さらに、購入された商品をピッキングして1つの袋や箱に梱包するのもロボットです。梱包が終了すると、配送伝票の貼り付けを別のロボットが行います。

かつて製造工場にロボットが導入されたように、今ロジスティクス内でもロボットの導入が進んでいます。そして、ロボットに作業の指示を送り、対応状況を管理するためのシステム化が進んでいるのです。

【宅配効率化システム】

宅配ドライバーは少しでも多くの荷物を配達するために、お届け先の不在・再配達を避ける必要があります。そのため宅配業者では、独自のアプリで、事前にお客様へ荷物のお届け予定を連絡し、お届け予定時間に不在であれば配達時間の指定や宅配ボックスを指定してもらう対策を行っています。

さらにドライバーに対しては、「宅配効率化システム」の活用をはじめています。

「宅配効率化システム」は、その日配達予定の荷物を、どのような順序で配達すれば効率的かをAIが自動で計画します。さらに、そのルートで配達する場合に最適な車内の荷積み配置を指定してくれます。システムの指示に従って荷物を積み込み配達すれば、最も効率的な配達ができるというシステムです。

【競合他社との共同配送】

コンビニや家電量販店を代表とする多頻度納入を実施している業態では、効率化やCO2排出量を軽減させるために「共同配送」への取り組みが進められています。

「共同配送」では、これまでの自社システムが使用できなくなります。一方で、指定時間に指定商品が指定店舗に正しく納入されているかをリアルタイムで把握する必要もあります。そこで、「配達確認システム」を活用して、どの商品が今どこの拠点にあり、指定した店舗にいつ納入されたかを確認できるようにしています。

ロット数の大きな物流では、RFIDタグを埋め込んだスマートパレットを活用して、自社のどの商品が、いつどこに納入されたかを記録する取り組みも行われています。

輸配送業務に関しては、このような対応で効率化が進められています。

かつて製造業の工場が、マンパワーからロボットに置き換わってきたように、物流現場もマンパワーからシステム・ロボットの活用へシフトしています。そして、かつて生産活動の中心が「農業」から「工業」へ移り変わった「産業革命」のように、物流も新たな時代を迎えるための「物流革命」が求められています。そして、その「物流革命」を支える技術革新が「物流DX」なのです。

このような現場視点での「物流DX」で、システム・ロボットが活用された先には、経営的な視点からの物流を新たな世界へ導くような動きも出てきています。「物流がDXでどのように変わるのか」については、こちらの記事に記載していますのでご覧ください。

「物流がDXでどのように変わるのか」の記事へリンク

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