●物流DX
入出庫作業を自動化する「無人フォークリフト」
この記事で分かること
- 無人フォークリフトとは何か?なぜ必要か?
- 無人フォークリフトの種類、導入方法
倉庫内では、モノの移動にフォークリフトが活用されます。
かつては人間が運転するのが当たり前だったフォークリフトも、最近は自動運転化が進んでいます。
そんな自動運転化された「無人フォークリフト」は、どのような種類があり、どのような活用メリットがあるのでしょうか。今回は、「無人フォークリフト」を紹介します。
無人フォークリフトとは
「無人フォークリフト」とは、名前の通り「無人」で自動運転するフォークリフトです。AGF(Automated Guided Forklift)という略語で呼ばれる場合もあります。
主に倉庫内の入出庫、工程間搬送、出荷荷揃え、ピッキング、積み付け・積み降ろしなどの自動化で活用されます。人が運転する必要がないため、作業の無人化や効率化が可能です。
かつてはエンジンが動力だったフォークリフトも電動化が進み、無人フォークリフトでは電動のバッテリー車が主流となっています。
無人フォークリフトの種類
無人フォークリフトの種類は大きく2種類に分類されます。
コンパクト設計の「リーチ型」は、狭い場所でも小回りがきくタイプで、基本的に無人の自動運転型ですが、必要な場合にはフォークのみをレバーで操作できます。。GPSの位置情報で移動し、フォークは各種センサーでRFIDタグを読み取り、その位置にフォークを差し込みます。また、車のように運転席に人が座ってハンドル操作する「ライダー型」は、基本的に無人の自動運転型ですが、必要な場合には切り替えスイッチにより有人運転も可能なタイプです。
特に「リーチ型」は小型化が進み、利用シーンに特化した専門性も進んでいます。どのようなスペースでどのような作業が必要なのかによって、適した無人フォークリフトが選べます。各メーカーを比較して、用途に適したタイプを選んでください。
価格はリーチ型で400万円程度から、ライダー型で600万円程度からとなっています。リースにも対応しているメーカーもあるため、導入費を抑えたい場合にはリースもご検討ください。
無人フォークリフトの導入メリット
では「無人フォークリフト」には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
【作業の効率化】
従来の有人フォークリフトの入庫作業では、1時間あたり6~7パレットだったものが、無人フォークリフトでは、1時間あたり17パレットと大幅に作業効率が上がったという事例も確認できます。
【人員の適正配置】
無人フォークリフトで作業を自動化できれば、フォークリフト作業員の人数を削減することができます。人間でなければ対応できないトラック運転業務などに配置することで、物流業務全体の人員配置が改善されます。
【ヒューマンエラーの低減】
フォークリフト作業は、作業時間内に決められた量を移動しなければならず、間違ったモノを運ぶようなミスは許されません。必要なモノをシステム的に確認しながら作業する無人フォークリフトでは、人間の目視によるヒューマンエラーが防止できます。
【人件費コストの削減】
無人フォークリフトは導入コストが必要ですが、中長期的に考えれば、コスト削減の側面もあります。これまでフォークリフトの運転をしていた作業員は、自動化により配置転換が可能となり、他の人間が必要とされるトラック輸送などの業務に振り替えられます。また、フォークリフト作業は免許や技術も必要なため、新人の教育にかかる費用も軽減できます。
無人運転の裏にある技術
無人フォークリフトの自動運転には、「レーザー誘導方式」と「磁気誘導方式」の2種類があります。
「レーザー誘導方式」は、レーザーを車体の360度に照射し、反射をスキャンすることで車両の現在地を認識します。「磁気誘導方式」は、床面に磁気棒を埋め込み、磁気センサーで検知しながら運転する方式です。床面に磁気棒を埋め込むといった設備を事前に準備する必要があるため、近年は「レーザー誘導方式」が一般的になっています。
また入出庫するモノの検知は、非接触でデータの入出力ができるRFIDタグが活用されます。かつてのバーコードのように、バーコード自体を見つけてスキャンするような目視が不要となるため、システムの指示に従った位置に自動で移動し、合致するRFIDタグの棚へフォークを挿入して運び出します。各作業が終わると、運用システムに作業ログが記録されますので、どれくらいの時間で、どのような作業を終えたのかがデータで確認できます。
無人フォークリフトが活躍する現場
無人フォークリフトは、単に効率的というだけではありません。
物流現場では、人間が長時間作業するのは難しい環境もあります。そんな環境の代表的な存在「冷凍倉庫」では、無人フォークリフトを活用して長時間作業を続けられるため重宝されています。
これまで冷凍倉庫では、人間が冷凍倉庫内で作業できる作業時間には制限があるため、夜間作業も導入して、必要作業量に対応する努力を行ってきました。ただ、時間を限定してシフト制で夜間対応すると、必要人員も人数が増えますし、夜間業務における人件費も増加します。また狭い倉庫内でのフォークリフト作業は難易度が高いことから、作業員の教育や確保も課題でした。
無人フォークリフトを導入すると、マイナス10度の環境でも夜間ずっと自動運用が可能なため、作業効率も上がりますし、作業員の確保という難題もクリアされます。これまでフォークリフト作業を担当していた作業員は、別の業務に配置転換することでさらに倉庫全体の作業効率が向上します。
「冷凍倉庫」では、このようなメリットが生まれています。
「パレットの位置ずれ」への対応策
ただ、無人フォークリフトでは、パレットにフォークを差し込む際の「パレットの位置ずれ」という課題があります。無人フォークリフトが安定的に稼働するためには、パレットの位置ずれを上下左右数㎝以内に抑える必要があり、この精度を実現するために無人フォークリフトメーカー各社は、様々な対策を行っています。
特に黒いパレットは、光の当たり方によってフォークの差し込み位置が検知しにくいということもあり、フォーク部分にも位置ずれ専用のカメラやセンサーをつけて補正するような無人フォークリフトも登場しています。
無人フォークリフト導入に際しては、使用する現場の状態をメーカーにも確認してもらい、利用シーンに適した無人フォークリフトやパレットを選択するようにしてください。
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