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ラストワンマイルの無人化はどこまで進んでいるのか|技術

ラストワンマイルの無人化

この記事で分かること

  • ラストワンマイル問題とは何か
  • ロボットやドローンを使った解決方法

現在EC(インターネット通販)の成長と共に、業務が煩雑化している宅配業務。

物流の最終拠点からお客様宅まで商品を届ける物流の最後の区間を、「ラストワンマイル」と表現します。その「ラストワンマイル」は、時間指定配送や再配達など非常に多くの対応が必要とされています。

フランスのITコンサルタント企業の調査では、サプライチェーン全体におけるラストワンマイルにかかるコストは41%に達し、倉庫保管や梱包に関わるコストの2倍以上に及ぶと試算されています。

その「ラストワンマイル」の効率化として考えられているのが、自動運転ロボットやドローンによる無人化です。「ラストワンマイル」の効率化には、コンビニ受け取りや宅配BOX、置き配などの対策もありますが、今回は「ラストワンマイル」の無人化として進められている、自動運転ロボットやドローンを活用した宅配技術がどこまで進んでいるかを解説します。

ラストワンマイルの無人化①~自動運転ロボット宅配~

自動運転ロボット_宅配

自動運転ロボットやドローン宅配という言葉は知っているけれど、実用化されるのはかなり先だと思っている人もいるかもしれません。しかし既に特定のエリアでは、サービス化や実用段階を想定した実証実験が始まっているのです。まずは、自動運転ロボットの実証実験がどこまで進んでいるかを確認してみましょう。

実際の店舗から公道を走行させた無人宅配実験

自動運転ロボットは、既にロジスティクス内や飲食店内でも実際に使用される時代となってきました。そのため、屋内においては実際の利用イメージが浮かんでいる人も多いと思います。

しかし既に屋外においても、公道を自動運転ロボットが走行して宅配する実証実験は完了しています。

大手通販会社は、2020年8月から神奈川県横須賀市で、実際の店舗から公道を走行させた宅配ロボットの実証実験を実施しました。

実験は、神奈川県横須賀市の住宅地(約200 m×約120 mの範囲)で実施されました。

自動配送ロボットが、横須賀市内のスーパーマーケットで取り扱う商品を同地域の住宅地へ配送するというものです。

実験で使用された宅配ロボットは、長さ115 cm×幅65 cm×高さ115 cmのサイズで、最大積載量は30 kg。最高時速4 kmで走行します。実際の公道を自動運転で走行し、お客様宅に到着すると、自動音声による電話で到着を知らせます。お客様は、注文時に登録した暗証番号を入力して、荷物を受け取ります。

公道を自動運転することから、自動運転ロボットの走行中は、同地域から約5km離れた拠点から、自動運転ロボットの遠隔監視が行われました。

実験で使用される宅配ロボットはいくつかのメーカーで開発されており、縦横高さがそれぞれ50cm~115cm程度と小型のものとなっています。

オートロック付きマンションのエレベーターも無人で利用

また2021 年 2 月には、オートロック付きマンションでの実証実験が行われています。この実験での検証ポイントは、オートロックの通過とエレベーターの利用です。

エレベーター管理会社と自動運転ロボットの運行管理システムを担当する会社が連携し、自動運転ロボットがオートロックを通過し、エレベーター利用を可能にするためのシステムが連携されて実験が行われました。

マンション居住者宛ての荷物を配達員がマンションの入り口まで持参し、配送ロボットに届け先の部屋番号を指定します。すると、自動でオートロックを通過してマンション内に入り、エレベーターに乗り込みます。指定されたフロアーで降りてお客様の部屋の前まで到着すると、SNSでお客様に到着を通知。お客様はSNSで届いたパスワードで、荷物を受け取るという仕組みになっています。

自動運転ロボットの課題

上記のように、自動運転ロボットは完成しており、公道での実証実験も行われています。

ただ自動運転ロボットが公道を走行するためには、法整備の必要があります。

そのため、2019年「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」が立ち上がり、今後の課題として大きく下記3つのポイントをあげています。

安全性の確保・安全性の確保に当たっての役割分担の整理

実証実験からデータ・知見を蓄積し、役割分担を検討の上、関係省庁におけるルールの見直しを検討するとされています。

交通弱者への配慮

歩道を通行する子供、高齢者、身体障がい者のような交通弱者に対しての危険性を検討し、どのような対策により安全性が保たれるのか、その対策が必要とされています。

事故時の法的責任分界点の整理

自動運転中の事故に対して、誰にどのような責任を課すのかの議論が必要とされます。

法整備は「宅配ロボット」だけでなく、「自動運転車」全般に関係してくる課題です。

それ以外に、オートロックマンションでの自動宅配ロボット運用では、汎用的なオートロックやエレベーターシステムとの連携といった課題もでてきます。つまり自動運転に関しては、「安全・セキュリティ」ということが重要な課題となっており、解決策の議論が進められているのです。

ラストワンマイルの無人化②~ドローン宅配~

ドローン宅配とは

自動運転ロボットに続いては、ドローン宅配がどこまで進んでいるかを紹介しましょう。

ドローン宅配とは、文字通りドローンを使った宅配サービスです。ドローンに荷物を装着し、目的地まで自動運転で空輸し、着陸地点で荷物を降ろして帰るというサービスです。

ニュージーランドでは2016年時点で宅配ピザチェーン店が、ドローンを使ったピザの宅配サービスを開始。ニュージーランド政府からの認可を受けた、「世界初のドローンでのピザ宅配」だと言われています。

またアメリカでは、特定のアプリでドローンを飛ばしたい地域を調べると、米連邦航空局(FAA)から許可を取る必要のあるエリアなのか確認できます。許可が必要な場合は、そのままアプリで飛行申請が可能で、規制当局から承認を受けられます。

このようにドローン宅配に関する技術は世界的に進んでいますが、実用化されるとどのようなメリットがあるのでしょうか。

・宅配の無人化が実現できる

・渋滞もなくスムーズな宅配が可能

・山間部や離島へも容易に宅配できる

などのメリットがあります。

ドローン宅配は、日本でも2022年にレベル4が解禁

では日本国内のドローン宅配の実用化は、どの程度進んでいるのでしょうか。

2016年に開催された「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」の中で、「無人航空機の利活用と技術開発のロードマップ」案が示されています。

ドローン飛行は難易度に応じ、大きく4段階にレベルが分類されます。

レベル1:操縦者が目視内でドローンを手動で操作する場合

レベル2:目視内でドローンがあらかじめ設定したルートの自動飛行

レベル3:管理者の目視外かつ、人がいない地域上での自動飛行

レベル4:管理者の目視外でも住宅地など人が密集する地域の上空での自動飛行

現在は航空法により、レベル3までの対応が認められており、レベル4が2022年後半に予定されている改正航空法の施行により解禁される予定となっています。

すでに離島や過疎地といったレベル3では、実用化が進んでいますが、2022年中のレベル4解禁後には、本格的なドローン物流が活発化されるのではないかと言われているのです。

始まっているドローン宅配の実証実験と実用化

2022年中にもレベル4が解禁になるということで、日本国内でもドローン宅配の実証実験やサービスの実用化が開始されています。いくつかの例を紹介しましょう。

離島への医薬品の配送

2020年11月に航空会社が、長崎県五島市で離島への医薬品の配送に関する実証実験を実施しました。これは、遠隔診療・遠隔服薬指導によって処方された薬を離党へ届けるというものです。五島市にある福江島から飛行距離16km(直線距離:約12km)離れた嵯峨島へ、高度約30mで約10分間自動航行して、嵯峨島港のランディングポイントに着陸。数秒で処方薬を格納した荷物を自動で降ろし、またすぐに離陸して福江島へ帰還するというものでした。

山間部におけるドローン宅配

また2021年4月からは運送会社とロボット開発企業が、山梨県小菅村でドローンを使った配送事業を開始しました。

山梨県北東部の山間地にある小菅村は約700人が暮らし、65歳以上が46%を占める過疎化が進む村。同村に食品や日用品などの倉庫を設置し、注文を受けた商品を自宅へ宅配するというものです。現時点でお客様宅までのドローン宅配は、配送オプションの1つとなっており、車での宅配も行われているということです。ドローン宅配では、縦・横・高さの合計が80cm、重さ5kgまでの荷物を運ぶことができるそうです。

将来的には日本全国817の過疎地域への展開を目指しているそうです。

高まるドローン宅配のニーズ

このように既に日本国内でも、ドローン宅配の実証実験やサービス化が始まっています。

今後ドローン宅配には、どの程度の需要があるのでしょうか。

インプレス総合研究所が発表したレポート「ドローン物流の現状と将来展望2021」によると、国内のドローン事業の市場規模は、20年度の1,841億円から25年度には3.5倍の6,468億円に拡大。特に宅配を含む物流サービスの市場規模が、15億円から797億円に急拡大するということです。

法整備をはじめとする課題がクリアされると、一気に街中でのドローン宅配サービスも進んでくることがイメージできます。

ドローン宅配の課題解決策「空の道」

ドローン宅配_空の道

このように、離島や過疎地域では実証実験やサービス化が進むドローン宅配ですが、住宅地での実用化に向けては、様々な課題があります。

そこで、ドローン特有の「飛行ルート確保」を解決したケースを紹介しましょう。

福岡県福岡市のドローン関連のスタートアップ企業は、空中の利用権を貸し借りするサービスを立ち上げました。

ドローンが私有地上空を飛ぶためには、土地所有者の許可が必要となります。そのため、ドローン宅配業者は、ドローンの飛行ルート下に存在する土地所有者と直接交渉して許諾を得る必要がありました。しかしこのサービスでは、既にドローンの飛行に関する許諾を得た飛行ルートを提供しています。ドローン飛行を実施する場合は、このサービスを利用し、その飛行ルートを使えばいちいち土地所有者に許諾を得る必要がないのです。

サービス利用料金から、土地所有者に賃借料を支払うという仕組みを導入しており、利用者には飛行ルートの位置情報が提供されます。

このように、ドローン宅配は実用化に向けて様々な取り組みが進んでいます。

自動運転車同様に法整備を整える必要があるため時間はかかるでしょうが、離島や山間部では実用化されています。日本国内でもレベル3対応のサービスはいくつも開始されていますし、海外においてはピザの宅配のような身近なサービスとして利用されている状態になっています。今後は日本国内のレベル4の住宅地でのサービス開始を待つこととなります。

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