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物流業界におけるジャストインタイムとは?その3原則やメリット、デメリットまで幅広く解説!|物流基礎

ジャストインタイム物流を担うトラック

この記事で分かること

  • ジャストインタイム物流とは何か、なぜ必要か?
  • ジャストインタイム物流のメリット・デメリットは?

物流におけるジャストインタイムは、「必要な時に必要なものを必要な量だけ発送する」というスタイルの物流システムを表します。日本を代表する自動車メーカーでも導入されており、業務の効率化や無駄な費用の削減にもつながります。

この記事ではジャストインシステムの仕組みから、その3原則、さらにはメリットやデメリットまで幅広く解説します。

AIを活用したジャストインタイムも紹介するので、合わせてお読みください。

物流業界におけるジャストインタイムとは?

そもそも「ジャストインタイム」とは何でしょうか?

まずはジャストインタイムについて解説します。

ジャストインタイムとは?

「ジャストインタイム」とは「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」供給する生産計画方式です。日本を代表する自動車メーカーが行っている生産方式を構成する要素の1つです。「ムダ、ムラ、ムリ」を防ぐことができる生産方式として知られています。

ジャストインタイムが登場するまでは、需要を予想して商品を大量に生産する「大量生産方式」が主流でした。しかしモノが売れているときはよいものの、ひとたび不景気などでモノが売れなくなると、大量の在庫を抱えることになります。当然、売れ残るリスクもありますし、在庫管理のコストが経営に大きな影響を与えることもあります。

「ジャストインタイム」では、あらかじめ全種類の部品を少量用意し、その部品数量で商品を生産します。部品はこまめに使用した分のみ追加発注する生産方法となります。その結果、需要の変化に応じて生産数を調整できるため、必要な時に必要数だけ作るという体制が整い、ムダの削減と作業効率の向上を実現しました。

物流業界におけるジャストインタイム(ジャストインタイム物流)は、「必要な時に必要なものを必要な量だけ配送する仕組み」です。これにより在庫量を最小化ができるため、倉庫のスペースを少なくでき、ひいてはコスト削減につながります。

ジャストインタイム物流のメリット

先にも述べた通り、ジャストインタイム物流のメリットは「在庫量の最小化」と「コストの削減」です。ここではジャストインタイム物流の2つのメリットについて解説します。

在庫量の最小化

一つ目のメリットは「在庫量の最小化」です。これまで主流だった大量生産方式では生産したモノを市場に大量供給できる一方、モノが売れないと大量の在庫を抱えるリスクがありました。しかしジャストインタイムでは、少量を頻度を上げて生産するため、需要変動に応じて細かな生産数の調整が可能となります。また生産数が少ないことから、大量在庫を抱えるリスクを防ぐことができます。

コスト削減

二つ目のメリットは「コスト削減」です。在庫を最小に抑えることができるため、スペース的にも人員的にもコストを抑えることができます。具体的には以下の通りです。

  • 倉庫など、在庫管理に必要なスペースを最小限に抑えることができるため、倉庫の維持管理費の削減につながる
  • 在庫管理に必要な作業員を最小限に抑えることができるため、人件費の削減につながる

このように「在庫の最小化」と「コスト削減」のメリットが発生するため、近年物流業界ではジャストインタイム物流を導入する企業が増えています。

物流業界におけるジャストインタイムの3原則とは?

ジャストインタイム物流

物流業界でジャストインタイムを成立するためには、「後工程引取方式とかんばん方式」「工程の流れ化」「タクト調整」という3原則が存在します。また、「リードタイムの短縮化」も必要です。ここではこれらの原則について解説します。

後工程引取方式とかんばん方式

一つ目は「後工程引取方式とかんばん方式」です。

「後工程引取方式」とは、顧客需要に基づいた生産方式です。あらかじめ毎日一定数の製品を製造する場合は、決められた個数の製品を作るため、製造ラインの上流から決められた数の製造作業が行われます。しかし後工程取引では、顧客需要に応じて日々の製造数を調整します。そのため、製造ラインの上流で製造個数を決めてラインを動かすのではなく、最終工程側にその日の製造数が届けられ、製造作業が開始されます。最終工程よりも前の工程では、後工程で製造された個数を補充することになるので、製造数の管理が後ろから前となることから「後工程引取方式」と呼ばれます。

「かんばん方式」は、「後工程引取方式」でいくつ製造されたかを前工程がカウントするために「かんばん」を使用する作業方式です。「かんばん」と呼ばれるボードには、商品コードや商品名や数量が記載されています。各作業工程で作業が終わると、この「かんばん」を前工程に渡していきます。すると、この「かんばん」の集まった数量で、その日使用した部品の数量が把握できるというものです。

「かんばん方式」を活用すると、生産ラインの各工程でのコミュニケーションが発生するため、チームのコミュニケーションが取りやすくなります。そして、各工程での処理スピードも把握できるため、どこで遅延が発生するのかを把握し、チームで改善することができるというメリットがあります。

工程の流れ化

二つ目は「工程の流れ化」です。これは「物品を工程内もしくは工程間で滞留させずに次の工程にスムーズに流していくこと」を表します。また、工程間の流れをスムーズに行うことで在庫を余らずことなく生産できます。

理想は「1個流し生産」や「小ロット生産」です。

「1個流し生産」とは、「作業を1工程につき1個ずつ行い、次の工程に流す」というやり方です。これにより、モノの滞留や淀みをなくしていきます。とはいえ、1個流し生産を行うには工程間の作業量のバランスが取れていないとムダが発生してしまいます。そのため、あらかじめ工程間の作業量のバランスをとっておき、各工程における作業の同期を進めることが大切です。

しかし射出成型工程やプレス工程などのように、1個流し生産が困難な工程もあります。鋳造やプレス等の切替が必要な工程は切替時間を短縮した上で、次の工程にモノをスムーズに流すことが求められます。このため、1つのロットで生産する量を小さくすることで、次の工程への流れに滞留が発生しないようにします。このような1ロットあたりの生産量を少量にすることを「小ロット生産」といいます。

タクト調整

三つ目は「タクト調整」です。

タクトとは「拍子」や「リズム」のことです。必要なモノを必要な数だけ、時間内に生産するには、一定の生産スピードが必要です。このモノを1個生産するために必要な作業スピードを「タクトタイム」といいます。タクト調整とはこの「後工程や市場からの受注を考慮して最適なタクトタイムを決定し、生産工程から無駄を省くこと」です。

タクトタイムは以下の式で算出できます。

  • 1日の稼働時間 ÷ 1日の必要数

例えば1日の稼働時間が8時間(480分)、1日の必要数が240個だとすると、タクトタイムは以下の通りです。

  • 480分÷ 240個 = 2分

もし必要数が少なくなった場合は作業員を減らすなどで作業速度を落として対応します。

リードタイムの短縮化

リードタイムとはモノの生産開始から完成品ができるまでの時間です。受注生産の場合は顧客からの受注を受けてから生産を開始するため確かに在庫は少なく済みます。しかし、個別の対応が必要になるなど、生産に時間がかかりリードタイムが長くなります。

リードタイムが長くなるということは、それだけ生産コストが高くなるということです。消費者は同じような性能の商品であれば、安いほうが選ばれる可能性が高いので、生産コストは安いほうがよく、すなわちリードタイムが短いほうが販売価格にも優位に働きます。

この「後工程引取方式とかんばん方式」「工程の流れ化」「タクト調整」という3原則に、「リードタイムの短縮化」が加わることで、「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」供給できる体制が整い、効率的な「ジャストインタイム物流」が成立するようになります。

物流業界におけるジャストインタイムのデメリット

 

「在庫の最小化」「コスト削減」といったメリットのあるジャストインタイム物流ですが、デメリットもあります。それは「下請け業者の負担の増加」と「配送コストの増加」です。この2つについて以下で解説します。

下請け業者の負担の増加

一つ目は「下請け業者の負担の増加」です。

先にも述べたようにジャストインタイムでは小ロット生産が理想です。このため、発注元の会社がジャストインタイムでモノを生産するとき、下請け企業にもジャストインタイムでの対応を求められます。しかし、多くの下請け企業の多くは資金力がなく、小ロット生産が難しいのが現状です。

例えば、板金加工の場合はプレス機、プラスチック部品の場合は射出成型器を使って加工します。しかし、これらは金型交換のような段取りが必要なため、1個流しに生産できません。また、保有設備も限られています。このため、最低限のロットをまとめて生産するしかなく、発注元のジャストインタイムの生産に対応するためには発注元の生産が行われるたびに下請け会社も生産を行うことになり、結果として余剰在庫を抱えることになります。

とはいえ、余剰在庫を抱えたままでは損失をかぶることになるため、在庫状況を確認しながら納入を調整する必要があります。

配送コストの増加

二つ目は「配送コストの増加」です。

必要なものを必要な時だけ配送するため、1台あたりに載せる荷物量が少なくなり、配送頻度が高くなります。このため、下請け業者は何度も荷物を運ぶことになり、ドライバーの人件費や運搬費などの配送コストが増加します。また、ジャストインタイムの普及で何度も荷物を運ぶことでトラック業者の荷待ち時間が増加したため、これも同様に配送コストの増加につながっています。ドライバー不足の現状において指定時間での納入を求めると手待ちが発生し、コスト増加の要因になります。

この配送コスト増加の対策として「ミルクラン」という配送手法があります。

詳しくは、こちらをご覧ください。<link>ミルクランへリンク

ジャストインタイム物流におけるAIの活用

ジャストインタイム物流では「後工程引取方式」で説明したように、需要の変化に応じて生産量を調整し、余剰在庫を防止するメリットがあります。そのため高精度な「需要予測」が、重要となります。そこで活用されるのが、AIを活用した需要予測です。

これまで、倉庫内の在庫管理はベテラン人材の経験に頼る部分が多かった業務です。

どのようなモノを定期的にどの程度発注すれば、在庫切れも余剰在庫もなく対応できるかは、長年の経験がものをいう業務でした。最近は、その経験をAIがカバーするようになってきました。

在庫管理システムに、商品の販売動向や景気動向やSEO情報などのデータを取り込むことにより、AIで需要予測を行うというシステムがあります。

このシステムを開発・販売している企業によると、このシステムで需要予測を行うことで、約30%の在庫削減が可能だとしています。

ジャストインタイム物流では、少数ロットを日々生産して配送しますから、部品や資材の在庫切れは生産と物流を止めてしまうことになります。的確な需要予測で、安定的な生産と配送を続ける必要があるため、AIによる受要則に頼るということも今後は増えていくと考えられます。

※需要予測システムについては、こちらの記事で解説しています

まとめ

この記事ではジャストインシステムの仕組みから、その3原則、さらにはメリットやデメリットまで幅広く解説しました。

物流におけるジャストインタイムは「必要な時に必要なものを必要な量だけ発送する」物流システムを表します。「在庫の最小化」や「コスト削減」といったメリットがあります。その一方で「下請け業者の負担の増加」や「配送コストの増加」といったデメリットもあります。ジャストインタイムを成立させるためには「後工程引取方式とかんばん方式」「工程の流れ化」「タクト調整」といった3原則が必要です。

もし物流の仕組みにジャストインタイムを取り入れたいとお考えであれば、この記事が参考になれば幸いです。

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