物流基礎

初期導入費なしでロボティクスを導入する「RaaS」とは

無人フォークリフト

この記事で分かること

  • RaaSの事例と導入方法
  • RaaSとは何か?なぜ必要か?

近年物流業界では、ロボティクスによる作業の自動化が進んでいます。

無人フォークリフトが自動で商品を運び、ピッキングロボットが自動で商品を仕分けて、配送伝票も自動で貼り付けられるようになってきました。

ただ、そのようなロボティクスの導入には「初期投資」が必要だから、うちでは対応できないとあきらめている企業も多いのではないかと思います。

そこで最近、初期導入費なしの月額利用料だけでロボティクスを導入できる新しいサービスが出てきました。今回は、そんな「RaaS(ラース)」というサービスを紹介します。

RaaS(ラース)とは

RaaS(Robot as a Service)とは、ロボットとロボットを制御するシステム一式を外部サービスとして、月額利用料のみで導入できる仕組みです。購入ではないので初期導入費がなく、必要な期間、必要な台数だけ月額利用料のみで導入できます。そのため、中小企業でもロボティクスを活用できるチャンスが広がり注目されています。

RaaSは、完全な全自動の「自動倉庫」を目指すのではなく、ピッキングだけの自動化や自動走行ロボットで運搬だけを自動化するなど、部分的な自動化を初期投資なしで実現するためのサービスです。汎用性の高い機能を持ったロボティクスを、初期設定を行うだけでスピーディーに導入するサービスですので、ロボティクスにおけるクラウドサービスのようなイメージです。

これまでのロボティクス導入は、高額の購入費用が必要でした。そのため、失敗は許されないという意識で導入してきた企業が多いと思います。ただ、RaaSのような手軽に導入できる仕組みができたことで、お試しに一定期間導入して可能性を試してみるというような発想もできるようになりました。

経済産業省の「ロボット産業市場動向調査結果」(2013年7月)によると、日本国内のロボット市場は2025年には5.3兆円、2035年には9.7兆円規模にまで成長するとされています。これまでロボティクスの導入は製造業が中心となっていましたが、近年物流業界をはじめとする多くの分野での成長が期待されています。

RaaS導入のメリット

RaaSの魅力は、何といってもロボティクス導入ハードルの低さです。

初期導入費もなく、月額課金で必要な機能を必要な期間に絞って導入できます。現在は、月額10万円程度から導入できるサービスが開始されています。

以下に、RaaS導入のメリットをまとめました。

1.機器・システムの購入が不要

RaaSは月額で利用料を支払うサブスクリプションモデルです。⽉額料⾦には、ロボットとシステムだけでなく、コンサルティングや保守も含まれます。購入のように資産計上も必要ありませんし、リースのように導入したら契約期間は契約解除できないといったこともありません。非常に自由度高く、ロボティクスが導入できます。

2.必要な期間・必要な台数を選択可能

ロボットの台数は必要数を指定できます。また導入後に台数を増減することもでき、柔軟な対応ができます。また最低契約期間はありますが、基本的には月額利用料となるため、まずはお試しとしてスモールスタートも可能です。導入後の稼働状況を判断して、継続するか別の手段を選択するかも選べるのが、購入やリースとの大きな違いです。

3.導入前・導入後のフォローも

ロボティクスの導入前にはコンサルティングがあり、導入企業の業務で利用可能かレクチャーがあります。導入後は、保守管理も含めて対応があるため、システムのアップグレードやロボティクスの故障やメンテナンスにも対応します。

 

RaaS事例

ではRaaSでは、どのようなロボティクスが提供されているのでしょうか。

物流に関するRaaSの、具体的な事例を紹介します。

【ピッキングロボット】

アメリカのベンチャー企業では、中小企業をターゲットにしたピッキングロボットのRaaSを展開しています。

倉庫業をターゲットにして開発された、2つのロボットと制御システムが提供されます。

ひとつ目のロボットが指定された商品をピッキングし、もうひとつのロボットが商品を受け取り出荷作業場所まで運搬するロボティクスです。2つのロボットを、それぞれ何台という課金方法で月額料金が決まるというものです。

<link>ピッキングロボットの詳細は、こちらをご覧ください。(「エラーを軽減させるためのピッキングAIの学習術」へリンク)

【自動仕分けロボット】

日本国内でも、RaaSは実用化されています。

物流のソリューションを提供している国内企業では、ECの急速な普及に対応すべく、自動仕分けロボットを提供しています。

アパレルや日用雑貨の商品を、1時間あたり700個仕分ける能力を持ち、30出荷先に仕分けできるというスペックのロボティクスです。一定のレーンの上を仕分け用のAGV(自動運転荷台)5台が走り、出荷先ごとに商品を仕分けるものです。AGVとハンディスキャナやセキュリティカメラといった機器、ロボットコントロールシステムやスキャナーシステムといったシステム、AGV走行用マットやWi-Fiといったインフラまで揃って、月額30万円からという価格設定となっています。

自動仕分けロボットの詳細は、こちらをご覧ください。

RaaSは最近はじまったサービスのため、紹介できるのは一部となります。しかし今後、RaaSは成長が期待される分野ですので、多様なロボティクス技術のRaaSがでてくることが予想されます。上記は、RaaSのイメージをつかむための一部のサンプルとお考えください。

世界的に見るとRaaSはアメリカが進んでおり、日本のRaaS市場はアメリカの15%程度にとどまります。そんなRaaS先進国のアメリカでは、配送ロボット、清掃ロボット、工場ロボット、倉庫ロボット、セキュリティ ロボットの分野が進んでいますので、日本でも同様の分野でのRaaSが進んで行くものと思われます。

小規模事業者こそ活用を

冒頭にもお伝えしましたように、この RaaSは小規模事業者にこそ、活用価値のあるサービスです。

これまでの購入による導入では、初期導入費が莫大にかかりました。リースにしたとしても、契約期間使い続けなければなりません。しかしRaaSは、初期導入費が不要で、ロボットの台数も指定できて、必要期間を自由に決めて月額利用料で導入できます。

初期導入のセットアップや、使用法のコンサルティング、保守対応もセットになっているため、専門知識を有する社員が必要な訳ではありません。

初期導入費のかからないRaaSを活用すれば、旧来のロボティクス導入方法で必要だった高額な予算を、事業予算や必要人員の人件費に回すことができるのです。

さらにRaaSのロボティクスで、作業効率は上がり生産性が向上します。ロボットに置き換わった作業員は人間でなければできない業務に充てることで、人件費を節約できます。このようにして生産性の向上と人件費の節約から業績が向上すると、RaaSの費用に充てるコストが工面できる可能性もあるのです。

日本国内でも今後、RaaSは拡充していくことが予想されます。

ぜひ、自社で活用可能なRaaSがないか、最新の情報をチェックしてみてください。

https://ferret-plus.com/14319
https://www.jac-digital.jp/topics/650.html
https://syriusrobotics.co.jp/raas/
https://www.sbbit.jp/article/cont1/33589
https://data.wingarc.com/what-is-raas-12980
https://media.plus-automation.com/column/raas_12
https://newswitch.jp/p/20800

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